【しつ】~【しほ】

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・失意泰然得意淡然
(しついたいぜんとくいたんぜん) ものごとが上手くいかなくなっても、焦(あせ)らず、落ち着いて、時節の到来を持つべきであり、得意の時期には、奢(おご)らず、慎(つつ)ましい態度で当たるべきだということ。
・四通八達
(しつうはったつ) 《四熟》 道路が、どの方面へも通じていること。人の往来が賑やかなところ。 類:●四通五達 例:「四通八達の地」
・日月自明
(じつげつじめい) 《四熟》 太陽と月が明るいことと同じくらい確かなことである。 類:●自明の理 出典:「荘子−田子方」「若天之自高、地之自厚、日月之自明、夫何修焉」
・日月地に墜ちず
(じつげつちにおちず) 人が守らなければならない道義や正義などが、滅びないでまだ残っている。 用例:多聞院日記−天正8年9月26日条「日月地におちず、神慮頼み奉る計りなり」 ★「日月」は真理・正義などの象徴<広辞苑第四版(岩)>
・日月に私照なし
(じつげつにししょうなし) 1.太陽や月は偏(かたよ)ることなく、全てを平等に照らすということ。恩を施(ほどこ)すのが、私心なく公平であることの喩え。 出典:「礼記−孔子間居」「孔子曰、天無私覆、地無私載、日月無私照。奉斯三者、以労天下」 2.あらゆる人間は、世の中において、同じ恩恵を受ける定めにあるということ。
・疾言遽色
(しつげんきょしょく) 《四熟》 口早な物言いと慌(あわ)てふためいた顔付きという意味から、うろたえて落ち着かない様子。
・漆膠の契り(しっこうのちぎり) 「漆膠」はうるしとにかわのこと。強く結び合って離れない契り。男女、夫婦が深く言い交わすこと。
・十歳の翁百歳の童
(じっさいのおきなひゃくさいのわらべ)[=童子] 若くても知恵や分別を備(そな)えている者もあれば、経験を積み重ねてきたはずなのに思慮分別(ふんべつ)が足りない者もあるということ。人間の賢さは、年齢には関係がないものだということの喩え。また、人間の器は、外見では量(はか)れないものであるということ。 類:●三歳(七歳・八歳)の翁百歳の童
・十死一生
(じっしいっしょう) 1.「九死一生」を一段と強めていった言葉。殆ど生きる見込みがないこと。また、そのような状態から辛うじて命が助かること。 用例:日葡辞書「十死一生ノ戦イヲナス」 2.
十死一生の日」のこと。
・十死一生の日
(じっしいっしょうのひ) 陰陽道で、全てに渡って大悪日とされる日。特にこの日、戦闘することを忌んだ。民間暦では、嫁取り、葬送に悪いとされる。 類:●十死●十死日●
十死一生●万死一生●万死一生の日
・質実剛健
(しつじつごうけん) 《四熟》 飾り気がなく、真面目(まじめ)で、強く、しっかりしている様子。
・十指に余る
(じっしにあまる) 10本の指では数え切れない。際立ったものを数え上げていくと10個以上になる。10より多い。 例:「十指に余る肩書きを持っている」
・十指の指す所
(じっしのさすところ) 大勢の意見が一致すること。多くの人が正しいと認めるところ。 類:●十目(じゅうもく)の見る所十指の指す所 出典:「礼記大学」「十目所視、十手所指、其厳乎」
・失笑を買う
(しっしょうをかう) 愚かな言動のために他の人から笑われる。失笑の対象となる。
・知ったか振り
(しったかぶり) あることを実際は知らないのに、然(さ)も知っているような様子をすること。また、知っていることを得意がる様子。また、そのような素振りをする人。 類:●物知り立て●知ったぶり
・叱咤激励
(しったげきれい) 《四熟》 大きな声で強く励ますこと。
・知ったことではない
(しったことではない)・知ったことか 与(あず)かり知るところではない。関知することではない。関係ない。 例:「あいつが勝手に決めたんだ。知ったことじゃない」
・しっちゃかめっちゃか
 《俗》 ものごとが混乱した様子。物が散乱した様子。 類:●滅茶苦茶てんやわんや 例:「敵味方入り乱れてしっちゃかめっちゃか」 語源:戦前の料亭や芝居の世界で使われていた隠語の「しっちゃか面子(めんこ)」からかという。本来は「不器量な女性」の意味。 ★「しっちゃか」の語源(説) 奈良時代の弦楽器「ちいちゃか(弛衣茶伽)」からかという。貴族の間で使われていた楽器で弦が23本もあり、名人しか使いこなすことが出来なかった。その騒々しい音色に寝ていた鶏も朝と間違えて鳴き出すと言われた。
・十中八九
(じっちゅうはっく) 《四熟》 10のうち8か9。転じて、大方。大抵。殆ど。大部分。
・七珍万宝
(しっちんまんぽう) 《四熟・仏教用語》 様々な種類の宝物のこと。 ★古くは「しっちんまんぼう」<国語大辞典(小)> ★「七珍」は、無量寿経では、金・銀・瑠璃・玻璃(はり)・??(しゃこ)・珊瑚・瑪瑙(めのう)をいい、法華経では、金・銀・瑠璃・??・瑪瑙・真珠・?瑰(ばいかい)をいうなど、種々の数え方がある<国語大辞典(小)>
・出な者
(しつなもの) 厚かましい人。差し出がましい人。 
★「しつ」は「しゅつ(出)」の変化<国語大辞典(小)>
・室に怒る者は市に色す(しつにいかるものはいちにいろす) 家の内での怒りを、人が集まる市井で喋ること。 類:●八つ当たり 出典:「戦国策−韓策」「怒於室者色於市」
・室に入りて戈を操る(しつにいりてほこをあやつる・とる) 他人の部屋に入り込んで、そこの主人の持ち物の戈(ほこ)を取って乱暴を働く。転じて、相手の主張する議論を逆用して攻撃すること。また、師の論や学問を使って、却(かえ)って師を攻撃すること。 出典:「後漢書−鄭玄伝」「康成入吾室操吾戈、以伐我乎」 
・失敗は成功の元
(しっぱいはせいこうのもと)・本・基[=母] 失敗しても、それによってこれまでの方法の悪い点が分かるので、成功へ一歩近付くことになる。失敗があってこそ成功に辿(たど)り着けるのだということ。 類:●Failure is a stepping-stone to success.
・十把一絡げ
(じっぱひとからげ) 1.色々な種類のものを無差別に一纏(まと)めにすること。 例:「売れ残りを十把一絡げにする」 2.その他多くのものと同様に、軽く見ること。また、数は多くても価値がないこと。 例:「十把一絡げに扱われる」 ★刈った稲などの十把(じっぱ)を一束(いっそく)に纏めて縛(しば)るという意味から。
・疾風迅雷
(しっぷうじんらい) 《四熟》 強い風と激しい雷。また、非常に素早く凄まじいこと。
・疾風怒涛
(しっぷうどとう) 《四熟》 強い風と逆巻く荒波。
・疾風怒濤時代
(しっぷうどとうじだい) ドイツ語 Sturm und Drangの訳語。18世紀後半のドイツに起こった
ゲーテを中心とする革新的な文学運動。 参考:シュトルムウントドラング(「嵐と大波」の意) 18世紀後半のドイツでゲーテやシラーを中心に起こった文学上の革新運動。合理的、静的な古典主義に対して、天才的な感情や個性を尊重し、動的、非合理性を強調するもの。ロマンティシズム運動の先駆となった。 人物:ゲーテ( ヨハン・ウォルフガング・フォン) ドイツの詩人、小説家、劇作家。1749〜1832。フランクフルトに生まれ、ライプチヒ、ストラスブールなどの大学に学んだのちシュトルム・ウント・ドラングの芸術運動に参加。「若きウェルテルの悩み」で一躍名声を博し、詩、小説、戯曲などに数々の名作を生んだ。政治家としても活躍。傍ら自然科学も研究した。代表作は「西東詩集」「詩と真実」「ヘルマンとドロテア」「ウィルヘルム・マイスター」「ファウスト」など。
・疾風に勁草を知る
(しっぷうにけいそうをしる) 激しい風が吹いて初めて強い草が見分けられる。転じて、苦難や事変に遭遇して初めてその人の節操の堅さや意志の強さなどが分かる。 類:●盤根錯節に遭いて利器を知る●In a calm sea every man is a pilot.(静かな海では誰でも舵手だ) 出典:「後漢書−王覇伝」「光武謂覇曰、潁川従我者皆逝、而子独留努力、疾風知勁草
・櫛風沐雨
(しっぷうもくう) 《四熟》 風に髪を梳(くしけず)り、雨に体を洗う。転じて、風雨に曝(さら)されて奔走し苦労すること。 類:●雨に沐(かみあら)い風に櫛る 出典:「荘子−天下」

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・しっぺ返し
(しっぺがえし・しっぺいがえし) 1.竹篦(しっぺい)で打たれたのを打ち返すということで、即座に仕返しをすること。また、ある仕打ちを受けて、同じ程度、同じ方法で仕返しをすること。 類:●仕返し 用例:役者論語「あの方より置みやげを贈られたるに、はなむけを又送りなば、余りしっぺい返しにておもしろからずと」 例:「強行に推し進めたそのしっぺ返しが来たのだ」 2.子供の遊戯の一つ。竹べらを数個、片手の甲の上に並べ、手を返したり滑らせたりして、それらを下に落として、全部を表か裏かに揃えるもの。 ★「しっぺいがえし」の転。 用例の出典:役者論語(やくしゃばなし) 芸談集。二世八文字屋自笑編。安永5年(1776)。4巻4冊。主に元禄時代頃の歌舞伎役者の芸談などを集めた書。役者の舞台での心得を述べた杉九兵衛の「舞台百ケ条」、名女形芳沢あやめの芸談「あやめぐさ」、坂田藤十郎の芸談を中心に聞書きした「耳麈集」「続耳麈集」その他3編を集録。「やくしゃろんご」とも。
・しっぽり
 1.しっとりと、全体が十分に濡れる様子。また、雨などが静かに降る様子。 類:●しっとり 用例:虎寛本狂言・右近左近「しっぽりと汗をかくものか」 2.情が篭もって、静かに落ち着いた様子。しめやかな様子。 類:●しんみり 用例:俳・毛吹草−五「雨の日ぞしっほりとなけ時鳥」 3.男女間で、情愛が細やかな様子。睦(むつ)まじい様子。 用例:浮・好色万金丹−一「頭からしっぽりと思はせ、馴染の女郎を退かするやうに」
・尻尾を切る
(しっぽをきる) 集金した金の一部や、釣り銭などを誤魔化す。
・尻尾を出す
(しっぽをだす・いだす) 化けた狐や狸が尻尾を出して正体を現わすという意味で、隠し事や誤魔化しがばれる。本性が露見する。 類:●化けの皮が剥がれる●ぼろを出す地が出る
・尻尾を掴む
(しっぽをつかむ)[=掴まえる] 1.化けた狐や狸の尻尾を掴んで正体を暴(あば)くということで、他人の秘密や弱み、誤魔化しや悪事の証拠を握る。 例:「尻尾を掴んでいるので彼は僕に逆らえない」 2.悪人などの立ち回り先を知る。 例:「犯人の尻尾を掴まえた」
・尻尾を振る
(しっぽをふる) 犬は餌を呉れた人に対して尾を振ることから、媚び諂(へつら)って相手に取り入ること。 類:●尾を振る●追従を言う 例:「町の顔役に尻尾を振る」
・尻尾を巻く
(しっぽをまく) 降参する。負ける。 類:●尻尾(しりお)を巻く●白旗を揚げる 例:「尻尾を巻いて逃げ出す」
・疾雷耳を掩うに暇あらず
(しつらいみみをおおうにいとまあらず)[=及ばず] 相手の行動が急激で防ぐ暇がない。 出典:「六韜−竜韜・軍勢」「疾雷不及掩耳、迅雷不及瞑目」
・失礼しちゃう
(しつれいしちゃう) 見損(みそこ)なわれたことに対する抗議の気持ちを込めていう言葉。「呆(あき)れた」「馬鹿にしている」という気持ちを込めて使われる。 例:「足が大根みたいだなんて、失礼しちゃうわね」
・失礼ながら
(しつれいながら) このような事を言ったり尋ねたりすると失礼に当たるが、という意味を込めて、謙遜の気持ちを表し、人の言葉に軽く反論を加えたりするときの前置きとして使う。また、出し抜けに、相手に問い掛けたりするときにも言う。
・実を言うと(じつをいうと)[=言えば] ものごとを打ち明けたり、真実を語ったりする時に、話の冒頭に用いる。 類:●本当のことを言うと●実は 例:「実を言うと、お金の持ち合わせがないんだ」
・実を尽くす
(じつをつくす) 真実を尽くす。誠意・真心を尽くす。親切にする。
・湿を悪んで下きに居る(しつをにくんでひくきにおる) 湿気の多いところを嫌がりながらも、現実には湿気の多い低い場所にいる。悪いことだと分かっているのに、なお悪いことをし続けている喩え。 出典:「孟子−公孫丑・上」「今悪辱而居不仁、是猶悪湿而居下也」

−−−−−−−して(#site)−−−−−−−
・地で行く(じでいく) 1.想像上の事柄などをそのまま現実の世界に移して、実際に行なう。 例:「アクション映画を地で行く」 2.「地」は本性や素顔という意味で、自分のありのままを見せること。ありのままに行動する。
・為て遣ったり(してやったり) 古文の「為て遣りたり」の促音便。「たり」は、完了の助動詞。 1.ものごとを、思い通りにうまく片付けた。首尾(しゅび)良くやり果(おお)せた。 類:●しめしめ●占め子の兎 例:「してやったり。ついに完成させたぞ」 ★多く、感動詞的に用いる。 2.相手をうまく誤魔化(ごまか)してやった。騙(だま)してやった。 類:●まんまと 例:「してやったりという顔をした」
・四天王(してんのう) 1.仏教用語。須弥山(しゅみせん)の中腹にある四天王の主(あるじ)で、東方の持国(じこく)天、西方の広目(こうもく)天、南方の増長(ぞうじょう)天、北方の多聞(たもん)天(=毘沙門天)のそれぞれを主宰する王の総称。八部衆を支配して帝釈天に仕え、仏法と仏法に帰依(きえ)する人々を守護する。 類:●四大天王 2.臣下、弟子などの中で最も優れている四人の称。また、ある道、ある部門で才芸が最も優れている四人を挙げて言う。 ★例えば、「和歌四天王(南北朝)」=頓阿・慶運・浄弁・兼好。
・紫電一閃(しでんいっせん) 《四熟》 1.一瞬の光が閃(ひらめ)くこと。事態が一瞬で変化することの喩え。 類:●光芒一閃電光石火 ★「紫電」は、研ぎ澄まされた剣を一振りするとき、一瞬ひらめく鋭い光のこと。 2.(転じて)事態が差し迫っていること。

−−−−−−−しと(#sito)−−−−−−−
・しどろもどろ 1.秩序(ちつじょ)がなく、たいそう乱れている様子。 用例:宇津保−蔵開・上「中納言しどろもどろにゑひて」 2.特に、言葉や話の内容がとりとめなく、曖昧(あいまい)な様子。 例:「しどろもどろに答える」 ★「しどろ」を強めていう語<国語大辞典(小)> ★「しどろ」は、「しまりがない」意の雅語的表現<新明解国語辞典(三)> ★「もどろ」は、「まだら(斑)」と同源という<国語大辞典(小)>

−−−−−−−しな(#sina)−−−−−−−
・撓垂れる
(しなだれる) 1.重みのために垂れ下がる。力なく靡(なび)き傾く。 用例:俳・
鷹筑波−五「しなだるる柳はほそき目もと哉」 2.人に甘えたり媚(こ)びたりして、寄り添う。甘えて凭(もた)れ掛かる。 用例:浮・好色一代男−二「横目にしなだれ、さし合有時はゐんぎんに仕懸」 用例の出典:鷹筑波集(たかつくばしゅう) 俳諧発句付句集。1巻。寛永15年(1638)。山本西武撰。
・至難の業(しなんのわざ) この上なく難しい行為。極めて困難な仕事。 例:「冬山の救助は至難の業だ」

−−−−−−−しに(#sini)−−−−−−−
・死に至る病(しにいたるやまい) 絶望的な事柄。絶望。 出典:「新約聖書−ヨハネ福音書」 参考:キュルケゴールが強調したもので、同名の著書もある。 人物:
キュルケゴール(セーレン・オービュエ) デンマークの宗教思想家。1813〜55。抽象的、全体主義的なヘーゲル哲学や審美主義的な態度に反対し、また現実のキリスト教、教会を批判、ひたすら自己の純粋な生き方を追求した。単独者、主体性、絶望、実存的思惟(しい)の意義を強調して、のちの実存哲学、弁証法神学に大きな影響を与えた。主著「不安の概念」「死に至る病」「あれかこれか」「反復」「おそれとおののき」。
・死に馬が屁を扱く
(しにうまがへをこく) 1.有り得ないことの喩え。2.有り得ないことが起こること。 類:●死に馬に蹴られる鼈(すっぽん)が時を作る
・死に馬に蹴られる
(しにうまにけられる) 俗語。 1.十中八九間違いなかったものが覆(くつがえ)ることの喩え。2.馬鹿馬鹿しいことの喩え。
・死に馬に鍼
(しにうまにはり) 1.なんの効果もないことの喩え。2.どう考えても絶望だと思えるものごとに、万が一を期待して、最後の手段を講じてみることの喩え。時機に遅れることの喩え。
・死に馬に鞭打つ
(しにうまにむちうつ) 死んだ馬には、いくら鞭打っても走らない。無駄な努力の喩え。 ★西洋のことわざ。
・死に様
(しにざま) 1.まさに死のうとする、そのとき。 類:●死に際(ぎわ) 用例:徒然草−六十「師匠死にさまに、銭二百貫と坊ひとつを譲りたりけるを」 2.死ぬ時のありさま。死に臨(のぞ)んでの、人としてのあり方。また、死んだときの様子。 類:●死に様(よう) ★「しによう」の誤読からか。 ★「生き様(ざま)」は、造語。昨今では、「取り沙汰するに値する生き方」の意味で一般化しつつある。
・史に三長あり
(しにさんちょうあり) 歴史書を書く人が具(そな)えなければならない長所は、「才」「学」「識」の三つである。 出典:「唐書−劉子玄伝」「史有三長、才、学、識。世罕兼之、故史者少」
・死に損ない
(しにぞこない) 死ぬべきときに死ねないこと。また、その人。老人などを罵(ののし)っていうのに用いる。 類:●くたばり損ない
・死にたる人は生ける鼠に及かず
(しにたるひとはいけるねずみにしかず) 死んだ人は生きている鼠以下である。死ぬのはつまらないことだということ。 類:●死んで花実が咲くものか死ぬ者貧乏●死んで骨は光るまい●死しての長者より生きての貧人 出典:山上憶良「沈痾自哀文」「生は貪る可し。死は畏(い)む可し。天地の大徳を生と曰ふ。故に死人は生ける鼠に及かず」
・梓に上す
(しにのぼす) 書画を板木に彫刻し、印刷して発行する。書物を出版する。 類:●上梓(じょうし)する 
参考:昔は、版木には、梓(あずさ)の木が使われていたことから。
・死に花が咲く
(しにばながさく) 立派な死に方をして、死後に名が残る。 類:●死に光り 例:「お国のため、見事死に花を咲かせて参ります」
・詩に別才あり
(しにべっさいあり) 詩の才能は、学問、教養の深浅によるものではなく、特別なものである。 類:●詩に別趣あり 出典:「滄浪詩話−詩弁」
・死に水を取る(しにみずをとる) 1.死に際に口に水を注いでやる。死に際の人の唇(くちびる)を水で湿(しめ)してやる。 2.転じて、死に際の面倒を見る。 
参考:死に水(しにみず) 死に際に口に注いでやる水のこと。末期(まつご)の水。
・死に目に会う
(しにめにあう) 「死に目」は死ぬ間際の意味。親などの臨終に立ち会うこと。 例:「放蕩者は親の死に目に会えない」
・死に物狂い(しにものぐるい) 1.死ぬことも恐れないではげしく行動すること。2.必死の覚悟で行動すること。 類:●死に狂い 
参考:葉隠「武士道は死に狂いなり、気違いになりて死に狂いするまでなり。武道にて分別できれば遅れるなり。忠も孝も要らず、武士道においては死に狂いなり。忠孝はおのずから籠るべし」 参考の出典:葉隠聞書(はがくれききがき) 江戸前期の武士道論書。11巻。享保元年(1716)成立。鍋島藩士山本常朝の談話を同藩士田代陣基が筆録したもの。「武士道と云は、死ぬ事と見付たり」といった思想を基軸に尚武思想を説き、肥前藩を中心とする逸事、逸聞などを伝える。「葉隠」「葉隠論語」「鍋島論語」とも。
死人に口なし
(しにんにくちなし)
・死人に妄語
(しにんにもうご)[=文言(もんごん) 嘘を言い立てて、死人に無実の罪を着せること。

−−−−−−−しぬ(#sinu)−−−−−−−
・死ぬ者貧乏(しぬものびんぼう) 生きてさえいれば良いことがあるのに、死んでしまえばどうにもならない。死ぬのはつまらないこと、一番損なことだということ。 類:●死んで花実が咲くものか死にたる人は生ける鼠に及かず●死んで骨は光るまい●死しての長者より生きての貧人●Debt is better than death.(死ぬより借金)
・死ぬる子は眉目よし(しぬこはみめよし) 早く死ぬような子は、往々にして器量が好いものである。 類:●佳人薄命 ★夭折(ようせつ)した子を惜しんで言う。

−−−−−−−しね(#sine)−−−−−−−
・死ねがな目抉ろ(しねがなめくじろ) 死んでしまえば良い、そうしたら目の玉まで抉(えぐ)り抜いてやる。強欲で残忍な態度や心情をいう。 ★「がな」は願望の意の終助詞<国語大辞典(小)>

−−−−−−−しの(#sino)−−−−−−−
・鎬を削る
(しのぎをけずる) 1.互いの刀の鎬を削り合うような激しい斬り合いをする。 用例:曾我物語−九「互ひに鎬を削り合ひ、時を移してたたかひけるに」 ★切り合う時、鎬が互いに強く擦れて削り落ちるように感ずるからいう<広辞苑第四版(岩)> 2.比喩的に、激しく争う。 例:「年末商戦に鎬を削る」 
参考:(しのぎ) 刃物の、刃と峰(=背)との境界で、鍔元(つばもと)から切っ先までの稜(りょう)を高くしたところ。
・駟の隙を過ぐるが如し(しのげきをすぐるがごとし) 四頭立ての馬車が、戸の隙間の向こうを一瞬に走り過ぎるようだ。月日の経過が早い喩え。 出典:「礼記−三年問」
・四の五の
(しのごの) あれやこれや。なんのかの。また、あれこれぐずぐずと言うこと。 例:「四の五の言わずさっさと片付けろ」 
★丁半賭博からできた言葉。賽子(さいころ)の4と5の形が似ているところから。 ★カブ賭博で、4と5は中途半端な数であることからとも。
・篠を束ねる
(しのをつかねる・たばねる) 篠竹を束ねたように、大粒で隙間ない雨が降る。大雨が強く激しく降る様子。 類:●
篠を突く
・篠を突く
(しのをつく) 1.篠を突き立てるように、大粒の雨が激しい勢いで降る様子。 用例:雲は天才である「雨が篠を付く様ですし」 例:「篠を突く雨」 2.矢が篠を束ねたように何本も突き刺さって立っている様子。 類:●針鼠 用例の出典:
雲は天才である 小説。石川啄木。明治39年(1906)ただし生前未発表。明治38年渋民村小学校代用教員となった後、小学教員の使命を痛感し、「詩人のみ真の教育者なるべし」として書かれた。 人物:石川啄木(いしかわたくぼく) 明治末期の浪漫派の歌人、詩人。本名一(はじめ)。岩手県出身。1886〜1912。与謝野鉄幹夫妻に師事。口語体の三行書きの生活派の歌をよみ、評論「時代閉塞の現状」などで社会主義への関心を示す。歌集「一握の砂」「悲しき玩具」、小説「雲は天才である」など。
・篠を乱す
(しのをみだす) 激しく降る雨に、風が加わって荒れる様子。

−−−−−−−しは(#siha)−−−−−−−
・死は或は泰山より重く、或は鴻毛より軽し(しはあるいはたいざんよりおもく、あるいはこうもうよりかるし) 死というものは、立派に死んだ時は泰山より重く、つまらないことで死んだ時は鳳の羽毛より軽い。 出典:司馬遷「報任少卿書」「人固有一。或重於泰山或軽於鴻毛。用之所趨異也」
・芝居蒟蒻芋南瓜(しばいこんにゃくいもかぼちゃ) 江戸時代の女の好きなものを語呂(ごろ)良く並べたもの。 類:●芋蛸南瓜(いもたこなんきん)
・芝居の植木
(しばいのうえき) 地口の一つ。 芝居の道具の植木には根がないことから洒落て言う。 1.考えが浅はかな者のこと。2.話に根拠がないこと。
・芝居を打つ
(しばいをうつ) 1.芝居の興行を催す。2.相手に本当らしく思い込ませて自分を有利にするため、作り事をしたり言ったりして騙(だま)す。 類:●一芝居打つ
・士は己を知る者の為に死し、女は己を説ぶ者の為に容る(しはおのれをしるもののためにしし、おんなはおのれをよろこぶもののためにかたちづくる) 男は自分の理解者の為に命を賭けるものであり、女は寵愛してくれる者の為に化粧するものである。 出典:「戦国策−趙策・一」 ★「史記−刺客列伝」にも豫讓(よじょう)の言葉として見られる。「嗟乎、士爲知己者死、女爲説己者容 ★「枕草子−四九」にも「士は己を知る者のために死ぬ」とある。
・芝栗も時節が来れば弾ける
(しばぐりもじせつがくればはじける) 1.心身の発育が遅れてか弱いように見える人でも、年頃になれば人並みに成長するものだということ。 類:●陰裏の桃の木も時が来れば花咲く 2.女性は年頃になると自然と綺麗になり、色気付くものだということ。 類:●毬栗も内から割れる(敗れる)豌豆は日陰でもはじける
・死は鴻毛より軽し
(しはこうもうよりかるし) 死というものは鳳(おおとり)の羽毛より軽い。 出典:司馬遷「報任少卿書」 
・死馬の骨
(しばのほね) 嘗(かつ)ては傑出したものであったが、今は何の価値もないもの。また、「死馬の骨を買う」「死馬の骨を五百金で買う」など、つまらない者を先ず優遇すれば、優れた者が自ずから集まってくるという意味でも使う。 出典:「戦国策−燕策上・昭王」 類:●隗より始めよ
死馬の骨を買う(しばのほねをかう)
・駟馬も追う能わず
(しばもおうあたわず)[=に及ばず] 一度口に出してしまうと取り返しが付かない、発言は慎重にしなければならないということ。 類:●駟(し)も舌に及ばず 用例:「説苑−説叢」「口者関也、舌者機也、出言不当、駟馬不能追也」
・自腹を切る
(じばらをきる) 自分の金を出して支払う。多くは、あえて自分が費用を出さなくてもよい場合に出すことにいう。 
参考:自腹(じばら) 自分の腹。転じて、自分の財布。自分の銭。また、自分の銭で支払うこと。

−−−−−−−しひ(#sihi)−−−−−−−
・字引き学問(じびきがくもん) 字引きで得た学問。名前は知ってはいるが、それを生かせない、ものの役に立たない学問。 類:●耳学問
・字引きと首っ引き
(じびきとくびっぴき) 一々単語を字引で引きながら努力して読むこと。辞書で調べながら、どうにかこうにか本を読むこと。 例:「字引と首っ引きで原書を読む」
・慈悲の粧い(じひのよそおい) 僧侶の装束。転じて、僧侶。
・慈悲は上から
(じひはうえから) 「上」は目上の者、位が上の者という意味で、慈悲は主人や目上の者が下の者に掛けるものだということ。
・四百四病(しひゃくしびょう) 《四熟・仏教用語》 人間が罹(かか)る一切(いっさい)の病気の総称。人の身体を構成する地・水・火・風の四つの元素の不調により、一々の元素に百病が起こり、元と合わせて四百四と数えたもの。地から黄病、水から痰病、火から熱病、風から風病が起こるとされた。
・四百四病の外
(しひゃくしびょうのほか) 恋の病(やまい)のこと。 類:●恋煩(わずら)い ★四百四病に入らないものの意<国語大辞典(小)>
・痺れを切らす
(しびれをきらす) 1.長く座っていたりしたために、血液の循環が悪くなって足の感覚がなくなる。足が痺れる。 類:●痺れが切れる●しびりを切らす 2.待ち遠しくて、我慢できなくなる。 類:●待ち草臥(くたび)れる
・慈悲を垂れる(じひをたれる) 慈悲心を示すということで、悲しみ哀れむ心から何か人の助けになる事をする。情けを掛ける。

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・渋柿が熟柿に成り上る(しぶがきがうみがきになりあがる・じゅくしに〜) どんなものでも時間と共に変化するということの喩え。
・渋柿の長持ち
(しぶがきのながもち) 渋柿は、渋いから人にも採られず、熟しても崩れにくいので長く枝に残る。 1.なんの取り柄もない人が長生きすることの喩え。また、欠点が必ずしも不幸とは限らないということ。 類:●不味い物の煮え太り●豚の亢鼻 2.善人は惜しまれて早死にするが、悪人は却(かえ)って長く身を守れるものだということ。 類:●憎まれっ子世に憚る●呪うに死なず
・渋が出る
(しぶがでる)[=来る] 苦情が出る。
・渋皮が剥ける
(しぶかわがむける) 女性が、田舎臭さが抜けて都会風になる。垢(あか)抜けして美しくなる。また、ものごとに慣れて巧みになる。堅苦しいところが取れて世慣れる。 類:●渋が剥ける●渋り皮が取れる
・雌伏
(しふく) 1.雌鳥が雄鳥に服従すること。転じて、人の下に屈従していること。 出典:「後漢書−趙典伝」「大丈夫当雄飛、安能雌伏」 反:■雄飛 2.やがて活躍する日を期しながら、暫(しばら)くの間、活躍の機会をじっと待つこと。 類:●三年飛ばず鳴かず
・私腹を肥やす
(しふくをこやす) 公(おおやけ)の地位や職権を利用して、不当に自分の利益を貪る。
・渋々顔
(しぶしぶがお) 嫌々そうな顔。不機嫌な顔付き。
・渋ちん
(しぶちん) 自分の金品を出し惜しみする人を指す俗語。 類:●けちん坊●しわん坊●しみったれ赤螺屋吝兵衛
・渋を食う
(しぶをくう)[=喰(く)らう] 割に合わない目に遭(あ)う。また、小言を言われる。苦情や咎(とが)めを受ける。 用例:滑・八笑人「渋を食つて縛られてもつまらねえ」
・時分柄
(じぶんがら) 丁度その時分に相応(ふさわ)しいこと。時機に相応していること。 類:●時節柄●折柄 用例:浮・好色一代男−七「正月の入用御無心の書簡はいしまいらせ、時分がら忝存候」 例:「時分柄、早めにお召し上がりください」
・四分五裂
(しぶんごれつ) 《四熟》 いくつにも裂け分かれること。纏(まと)まりのあったものが、ばらばらに分かれて、秩序をなくすこと。
・自分の頭の上の蝿は自分で追え(じぶんのあたまのうえのはえはじぶんでおえ) 自分が起こした不始末は自分自身で解決しなさいということ。 類:●頭の上の蝿を追え●Mind your own business. 己の頭の蝿を追え「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> 参考:頭の上の蝿も追えぬ
・自分の胸に聞いてみろ
(じぶんのむねにきいてみろ)[=手前ぇの〜] 自分を顧みて考えてみれば思い当たるものがある筈だということ。 類:●胸に聞く

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・四方八方
(しほうはっぽう) 《四熟》 あらゆる方面。あちらこちら。 類:●諸方●四隅八方●四角八方
・自暴自棄
(じぼうじき) 《四熟》 ものごとが思い通りにならないために、自分で自分の身を粗末に扱い、投げ遣りな行動をして将来の希望を捨てること。後先を考えない行動を取ること。自棄糞(やけくそ)になること。 類:●捨て鉢やけのやんぱち 出典:「孟子−離婁・上」「自暴者不可与有言也、自棄者不可与有為也」
・慈母敗子(じぼはいし) 《四熟》 母親が慈愛に溢れて甘過ぎると、却(かえ)って放蕩(ほうとう)な子ができる。教育は、時には厳しさが必要であるということの喩え。 出典:「韓非子−顕学」「夫嚴家無悍虜、而慈母敗子」 ★「敗子」は、家をやぶる子の意。

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